廣田榮治先生記念文庫

現在、廣田榮治先生記念文庫は一般図書と同様に開架書庫に配架していますが、
タイトルページに「廣田文庫」の印が押してあります。
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平成13年3月
先導科学研究科一同
(高畑尚之筆)

廣田榮治先生は、総合研究大学院大学(以下、総研大)の初代学長であった長倉三郎先生のもとで平成2年1月から平成7年3月まで副学長を勤められた後、平成7年4月からは第2代学長として就任され今日まで11年3ヶ月の長きにわたり総研大の発展に多大のご尽力をされてきました。長倉先生が掲げられた総研大の理念を具体化し、実施したのは廣田先生であります。それによって、総研大が幼年期から青年期へと着実な歩みを遂げ、これからの一層の発展となるべき土台を築かれたのです。

廣田先生が学長となられた年は、本部が長津田の東京工業大学から葉山に移転した年でもあります。移転当時は教育研究交流センターと教育研究情報資料センターの各々に専任教官1名という配置でありましたが、その後2年のうちに交流センターには3名の教官定員増があり、事業の拡大が可能になりました。

さらに大きな前進は、平成9年に設置された先導科学研究科であります。生命科学と光科学の2専攻からなる研究科には、10名の専任教官と35名の併任教官が配置されました。概算要求の内示ごとに専任教官が倍増した時期が、平成8年から10年まで3ヶ年も続いたのです。この結果廣田学長のご退官の年には、葉山キャンパスで活動する教官、学生、およびその活動を支えてくれる事務官や補佐員の総数は、80名にものぼります。先導科学研究科は、総研大の理念を実践する場です。さまざまな苦難がありますが、使命感に燃えそれをひとつひとつ乗り越えて行く過程は他では経験できない喜びです。

また、長年の懸案であった図書館が平成12年度に認められ、13年度中に完成の運びとなりました。これも廣田先生の粘り強いご尽力の賜に他なりません。これまで先導科学研究科の学生は図書館のない不便さを何とか克服する努力をしてきました。しかし、それにも自ずから限度があり、不便さを甘受せざるを得ないことがありました。この意味でこの度の図書館建設は、先導科学研究科の活動にとって大きな活性剤となるに違いありません。

私たち先導科学研究科一同は、このように総研大の育成に献身されました廣田先生を賛え、新設の図書館に「廣田文庫」を設立し、感謝と慰労の念を表す次第であります。